本文へスキップ

抱っこでは赤ちゃんを守れません|愛育ベビー

抱っこでは赤ちゃんを守れません|愛育ベビー

後部座席のチャイルドシートに座る赤ちゃん

「駐車場だから」「少しだけだから」「後部座席だから大丈夫」――。
チャイルドシートを取り付けていても、こんな理由で赤ちゃんを抱っこしたまま 車を動かしてしまうことはありませんか。

しかし、ほんの少しの速度でも、車が衝突したり急停止したりすると、 大人の腕だけで赤ちゃんを守ることは非常に難しくなります。

時速8kmでも大きな力がかかります

駐車場では「時速8km」程度の速度制限を見かけることがあります。
時速8kmは秒速にすると約2.2m/sです。

一見するとゆっくりした速度ですが、車が急停止した場合、 体重5kgの赤ちゃんでも、止まり方によっては 約25kgf相当以上の力を大人の腕で受け止めることになります。

これは、約18kgの18リットル灯油缶なら、 約1.4個分を一瞬で受け止めるようなイメージです。

なぜ時速8kmでもこれほどの力になるのか、 後ほど実際に計算してみます。

公的な交通安全資料でも、抱っこの危険性が説明されています

独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)のチャイルドシートに関するQ&Aでは、 時速40kmで衝突した場合、体重10kgの子どもには 約30倍の300kgに相当する力がかかるとして、 人の力では事故の強い衝撃から子どもを守ることはできないと説明されています。

また、国土交通省の「チャイルドシートアセスメント」の資料でも、 衝突時には抱いている子どもの体重の約30倍に相当する力がかかる例が示されています。

速度が上がるほど衝突時のエネルギーは大きくなります。
「ほんの少しだから」「近くだから」という油断は禁物です。

では、時速8kmではどのくらいの力になるのでしょうか

ここからは、時速8kmで走行中に車が急停止した場合を想定して、 物理の式を使って概算してみます。

なお、実際の交通事故では、車両の変形、衝突方向、停止時間、 停止距離など多くの条件によって力は変化します。
以下は、危険性を理解するための参考計算です。

計算1 体重5kgの赤ちゃんを腕で受け止める場合

前提条件を次のようにします。

・赤ちゃんの体重:5kg
・車の速度:時速8km
・赤ちゃんが止まるまでの距離:5cm(0.05m)

時速8kmを秒速に換算すると、

8 ÷ 3.6 ≒ 2.2m/s

運動エネルギーから平均的な停止時の力を概算すると、 次の式になります。

F ≈ mv2 / 2d

F:平均的な力(N)
m:質量(kg)
v:速度(m/s)
d:停止距離(m)

数値を代入します。

F ≈ (5 × 2.22) / (2 × 0.05)
≈ (5 × 4.84) / 0.1
≈ 242N

242Nという力を、普段の「何kgくらいの重さか」という感覚に 置き換えてみます。
地上では、質量1kgの物体には重力によって約9.8Nの力がかかります。
そのため、242Nを9.8で割ると、

242 ÷ 9.8 ≒ 24.7

となり、約24.7kgの物体の重さに相当します。
つまり、この条件では、 約25kgの物を一瞬で腕に受け止めるような力 がかかる計算になります。

停止する距離が短いほど、力は大きくなります

上の計算では、赤ちゃんが腕の中で5cm動きながら止まると仮定しました。

もし、ほぼ一瞬に近い1cm(0.01m)で止まると仮定すると、

F ≈ (5 × 2.22) / (2 × 0.01)
≈ 1,210N

これは、

1,210 ÷ 9.8 ≒ 123

つまり、約123kgの物体の重さに相当します。。

このように、停止するまでの距離や時間が短くなるほど、 赤ちゃんを支えるために必要な力は大きくなります。

時速8kmを「自由落下の速度」と比べてみます

次に、チャイルドシートなどで拘束されていない赤ちゃんが、 車の急停止によって前方へ移動した場合を考えてみます。

時速8kmで走行しているとき、 赤ちゃんも車と同じ秒速約2.2mの速度で進んでいます。

この秒速2.2mという速度は、 自由落下ではどのくらいの高さから落下したときに得る速度なのでしょうか。

計算2 自由落下の高さに置き換えてみます

空気抵抗などを考えない自由落下では、 落下速度は次の式で求められます。

v = √(2gh)

v:落下したときの速度(m/s)
g:重力加速度(約9.8m/s2
h:落下した高さ(m)

両辺を二乗すると、

v2 = 2gh

したがって、

h = v2 / 2g

v=2.2m/s、g=9.8m/s2を代入すると、

h = 2.22 / (2 × 9.8)
= 4.84 / 19.6
≒ 0.247m

結果 約25cmの高さから自由落下したときの速度に相当します

約0.247m、つまり約25cmです。

したがって、時速8kmで進んでいる物体の速度は、 自由落下で約25cmの高さから落下したときに得る速度と ほぼ同じということになります。

ここで大切なのは、 「25cmから落下したときと同じ衝撃」と言っているのではない という点です。

比較しているのは、あくまで衝突する直前の速度です。
実際に体に加わる衝撃は、何にぶつかるか、 どのくらいの距離や時間をかけて止まるかによって大きく変わります。

なお、同じ考え方で時速15kmについて計算すると、 自由落下で約88cmの高さから落下したときの速度に相当します。

「低速だから大丈夫」ではありません

時速8kmという速度だけを見ると、 それほど危険には感じないかもしれません。

しかし、体重5kgの赤ちゃんでも、 止まり方によっては大人の腕に数十kgf以上に相当する力がかかります。

また、チャイルドシートで拘束されていなければ、 赤ちゃんは車が停止しても、それまで車と一緒に進んでいた速度で 前方へ移動し続けようとします。

駐車場の中や、ほんの短い距離であっても、 「抱っこだから大丈夫」とは考えないことが大切です。

赤ちゃんを守るために、必ずチャイルドシートを

事故が起きる瞬間はほんの一瞬です。

抱っこでは赤ちゃんを十分に支えきれず、 前方へ投げ出されたり、車内に衝突したりする危険があります。

赤ちゃんを守るために設計されているのがチャイルドシートです。

どんなに短い距離でも、どんなに低い速度でも、 車を動かすときは赤ちゃんをチャイルドシートに正しく座らせましょう。

ほんの少しの手間が、大切なお子さまを守ることにつながります。

本ページの計算について

※本ページに掲載している数値は、運動エネルギーや自由落下の式を用いて、 衝突時の危険性を分かりやすくするために当社で概算した参考値です。
実際の交通事故では、衝突速度、衝突方向、停止時間、停止距離、 車両の変形、衝突する対象物などの条件によって、 体に加わる力や衝撃は大きく変化します。

参考資料(2026年8月10日現在)

国土交通省
チャイルドシートアセスメント
衝突時に抱いている子どもに大きな力が加わる例が掲載されています。

独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)
チャイルドシートアセスメント Q&A
「大人が抱えていればチャイルドシートは必要ないのではありませんか?」 という質問に対し、衝突時には人の力では子どもを守ることができない旨が 説明されています。

福岡県警察
シートベルト着用の必要性

MOTA
子供が嫌がるからチャイルドシートしない?

横芝光町
シートベルト・チャイルドシート着用の重要性

関連するTIPS

├─ チャイルドシートのQ&A
└─ ISOFIXとは?

▶ チャイルドシートレンタル一覧はこちら